Delegation of the European Union to Japan

05/07/2024 | Press release | Distributed by Public on 05/07/2024 21:03

第5回 日・EUハイレベル経済対話

<外務省仮訳>

共同プレス声明

5月2日、パリで開催されたOECD閣僚理事会に際し、上川陽子外務大臣、齋藤健経済産業大臣及びヴァルディス・ドムブロウスキス欧州委員会上級副委員長(人々のための経済担当)兼貿易担当欧州委員は、第5回日・EUハイレベル経済対話を開催し、次の点について議論を行った。

1.三者は、WTOを中核とする国際的なルールに基づく貿易体制を維持し、及び改善しつつ、世界全体で脆弱性を低減し、全ての人々のための持続可能な発展を確保するため、経済的強靱性及び経済安全保障に関する日・EUの対話及び協力を追求する必要性を強調した。

2.三者は、市場歪曲的な産業補助金といった広範な非市場的政策及び慣行に起因する戦略物資に関する特定の供給源への経済的依存関係の武器化に対する深い懸念を表明した。三者は、こうした戦略的依存関係や過剰生産能力から生じる構造的な脆弱性に対処し、連携された取組を通じて公平な競争条件を促進する必要性を認識する。

3.三者は、より透明、強靱で持続可能なサプライチェーンを構築するための政策に係る取組を連携させ、前進させるため、「透明、強靱で持続可能なサプライチェーン・イニシアティブ」に一致した。このイニシアティブは、2023年7月13日の日・EU定期首脳協議の共同声明、2023年10月28日に大阪で開催された日・EUハイレベル経済対話の成果及びその際に立ち上げられた「透明、強靱で持続可能なサプライチェーンを構築するための政策に関する国際協力作業部会」並びに日EU産業政策対話の継続的な取組及びその下で新たに設立された「サプライチェーンのモニタリングと連携に向けたタスクフォース」に基づくものである。三者は、WTO協定を含む国際的なルールとの整合性を確保しつつ、以下の課題について共に取り組む必要性を提起した。

a気候変動、エネルギー安全保障、サイバーセキュリティ及び安定供給等に対処するための取組において、透明性、多様性、安全性、持続可能性及び信頼性の原則の適用を通じ、戦略的依存関係及び構造的な脆弱性に対処し、強靱で信頼性のあるグローバルなサプライチェーンを確保すること。

b物品・サービスの調達及び競売並びに消費者補助金その他の需要サイドの政策におけるものを含め、こうした原則に基づき要件を特定するため、協調的な取組を継続すること。

c市場における透明性、強靱性及び持続可能性を強化するよう、企業を奨励すること。

d同志国と連携し、透明、強靱で持続可能なサプライチェーンを可能な限り広範に構築し、強化すること。

4.三者は、リスク評価分析及び重要・新興技術の流出防止に関する情報共有を含む、経済的強靱性及び経済安全保障に関する協力を推進することの重要性を強調した。三者は、日・EU間の協力や、G7やその他の同志国との協力を通じ、経済的威圧に対する共同の評価、準備、抑止及び対応を強化する必要性を再確認した。

5.三者は、WTO協定において定められている既存の貿易救済措置をより効果的に活用するための取組について情報交換を行うために協働する。

6.三者は、国際貿易の安定を支える多角的貿易体制の役割を強調し、WTOの全ての機能を改善するためのWTO改革に関する日・EU協力を一層強化することにコミットした。三者は、第13回WTO閣僚会議(MC13)の成果に基づき、完全なかつ良く機能する紛争解決制度を備え、公平な競争条件に対処するための貿易と産業政策を含む現在のグローバルな課題に対応可能な、効果的なWTOを実現するため、あらゆる分野において作業を加速させることの必要性を再確認した。双方は、MC13からの全ての未解決の問題を前進させるというコミットメントを強調した。さらに、三者は、複数国間のイニシアティブの重要性を強調し、開発のための投資円滑化に関する協定をWTOの法的枠組みに組み込むこと及び電子商取引に関する共同声明イニシアティブの交渉を迅速に妥結させることへの支持を改めて表明した。三者は、WTOの漁業補助金協定の第2段階交渉をできる限り速やかに妥結させることを含め、多数国間のルール形成の重要性を強調した。三者は、電子的送信に対する関税不賦課のモラトリアムを維持するMC13における決定を歓迎した。

7.三者は、日EU・EPAの完全かつ効果的な実施が、日・EU間の貿易・投資関係の強靱性を強化し、日・EUの市民及び企業がEPAにより創出される機会から十分な利益を得ることを確保するために重要であることを強調した。三者は、規制協力を含む完全かつ効果的な実施にコミットしている。

8.三者は、データの自由な流通に関する規定を加える日EU・EPA改正議定書の署名を歓迎した。データの流通は、デジタル貿易を支える重要な要因であり、日・EU双方のデジタル経済の成長を促進するものである。この改正議定書は、両者が共有する価値に基づく信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)を促進するための基礎となるものであり、デジタル保護主義やデータの流通に対する恣意的で不当な制限に反対する強いメッセージを発信するものである。